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「遊びながらしつけ」 はじめる前に
「遊びながらしつけ」にも、比較的難易度が低く習得しやすいものから、習得するまでに時間を要する難易度の高いものまでいろいろな「遊び」の種類があります。でも、どの種類の「遊びながらしつけ」を行うにも、愛犬ではなく「あなた」が一貫してとるべき姿勢、考え方、ルーティンがあります。
今回は、「遊びながらしつけ」をはじめる前に、「遊びながらしつけ」を主導する「あなた」が覚えておくべきいくつかの簡単なルールをご紹介します。
1. 「遊びながらしつけ」の最初と最後は、定番の『おすわり』と『伏せ』
1―1. 「遊びながらしつけ」のウォーミングアップは、定番の『おすわり』と『伏せ』から
1―2. 「遊びながらしつけ」を終えるときにも、クールダウンに基本の『おすわり』と『伏せ』を
2. 安全への配慮を忘れずに
2―1. 愛犬の今日の体調は?
2―2. 愛犬の年齢、関節、筋肉の状態は?
2―3. 「遊びながらしつけ」をする環境や、使うおもちゃや用具にも気を付けましょう
3. 愛犬が楽しむ「遊びながらしつけ」は?
3―1. 大げさくらいでちょうど良い!? 舞台俳優になった気分でオーバーな表現で褒めましょう。
3―2. 世界における狂犬病の現在
4. 「遊びながらしつけ」を切り上げる勇気を持ちましょう
4―1. ワンちゃんの学習効率には「差」があります。
4―2. 集中しているワンちゃんには、5分でも長すぎるほどです。
4―3. 愛犬の様子をよく観察しながら、切り上げることを忘れずに
1.「遊びながらしつけ」の最初と最後は、定番の『おすわり』と『伏せ』
「遊びながらしつけ」というと、何か新しい技を愛犬に覚えさせなければと思いがちですが、そうではありません。楽しい「遊び」を通して、あなたとあなたの愛犬とのコミュニケーションをはかり、信頼関係を深めていくことが最も大切です。
「遊びながらしつけ」のウォーミングアップは、定番の『おすわり』と『伏せ』から
「遊びながらしつけ」を始めるとき、特に今日は「新しいコマンドに挑戦しよう」というようなときは、ウォーミングアップとして、まずはあなたとあなたの愛犬が自信を持ってコミュニケーションをとれる『おすわり』や『伏せ』といった定番のコマンドからスタートしましょう。そうすることによって、ワンちゃんは「今からいつもの楽しい時間が始まるんだ」という前向きな気持ちになり、「今日は何して遊ぶんだろう?」とあなたへの集中力が高まります。
「遊びながらしつけ」を終えるときにも、クールダウンに基本の『おすわり』と『伏せ』を
その日初めて練習した新しいコマンドや、まだ完全に習得していない練習中のコマンドでは、当然失敗することもあります。ですから、その日の「遊びながらしつけ」の最期には、基本の『おすわり』や『伏せ』といったコマンドを行って、愛犬に「成功させて終わらせる」ことが大切です。そうすることで、愛犬は「できた!」「褒められた!」と自信をつけるとともに、あなたとの「遊び」を「楽しい!」「また遊びたいなぁ~!」という前向きな気持ちでしめくくることができます。次回の「遊びながらしつけ」も当然やりやすくなります。
もしもあなたの愛犬が自信をもってできるのであれば、『おすわり』『お手』『おかわり』『伏せ』『待て』などの基本的なコマンドを組み合わせてみるのも良いでしょう。
2.安全への配慮を忘れずに
「遊びながらしつけ」をするにも、「遊び」の種類や難度は様々あります。愛犬の年齢やその日の体調をよく観察して、「遊び」の種類を選ばないと、思わぬケガをさせてしまったり、体調を悪化させてしまうことにもなりかねません。
愛犬の今日の体調は?
ワンちゃんは、その時の体調が少々悪くても、大好きなおもちゃやおやつを見せられると、ついつい頑張ってしまうことがあります。
「遊びながらしつけ」を始める前に、あなたの愛犬の健康チェック、特に食欲や排せつはどうか、元気や表情にも注意しましょう。また、スキンシップを兼ねて愛犬の前身を触り、どこか痛がるところ、不快感を示すところがないかチェックしましょう。「遊びながらしつけ」の途中でも、集中できていなかったり、いつもと違う様子、楽しくなさそうな様子を感じたら、もしかするとどこか体調が悪いのかもしれません。その時はすぐに遊びを切り上げるようにしましょう。
愛犬の年齢、関節、筋肉の状態は?
愛犬の年齢や、関節、筋肉の状態なども考慮して遊びの種類を選びましょう。
例えば、成長過程の幼犬や、脊椎や股関節、膝関節に問題のあるワンちゃん、関節が硬くなっているシニア犬などには、ジャンプしたり、這ったり、激しく運動させる種類の遊びではなく、頭脳を刺激して集中力を高められる種類の遊びを選びましょう。
また逆に、関節や筋肉を強化した方が良い状態のワンちゃんであれば、その部位のリハビリを兼ねた遊び方もあります。かかりつけの獣医さんに相談してみると良いでしょう。
「遊びながらしつけ」をする環境や、使うおもちゃや用具にも気を付けましょう
おやつの袋やたくさんのおもちゃになりそうなものがその辺に転がっていては、愛犬の集中力が散漫になってしまうだけでなく、誤飲の原因にもなります。ご褒美に与えるおやつはコマンドを出すあなた自身が持っておきましよう。
また、おもちゃや用具などはその時の「遊びながらしつけ」で使用するものだけを用意して、他の誘惑するものは愛犬の見えないところにしまっておきましょう。
おもちゃや用具は、誤って飲み込んでしまうリスクのあるような小さいサイズのものや、噛んで破壊できるようなものを使用するのは避けましょう。
3.愛犬が楽しむ「遊びながらしつけ」は?
愛犬にとって楽しくなくては「遊び」ではありません。あなたと愛犬がお互いに「遊びながらしつけ」を楽しむことで、はじめて上達につながります。誰にでもできる、とても簡単な「楽しむ秘訣」をご紹介しましょう。
あなたの愛犬の「個性」を活かした「遊び」を取り入れましょう。
あなたは苦手なことより得意なことを挑戦する時の方が楽しくないですか?人間もワンちゃんも同じです。
愛犬の得意なこと、好きなこと、特に強い興味を示すことは何でしょう?
走り回ったりジャンプしたり活動的な愛犬ならば、アジリティにつながる遊びをお勧めします。
ボールが大好きな愛犬なら、ヘディングやドリブルといったサッカーにつながるボールを使った遊び、あるいは用具をフリスビーに変えてフリスビー競技につながるような遊びも良いでしょう。
普段からあなたについて回るのが好きな愛犬ならば、あなたと一緒に共演できるドッグダンスにつながる動作を覚える遊びに夢中になれるでしょう。
大人しくて思慮深い愛犬には、「おやつ探し遊び」や複数のおもちゃの名前を覚えて取ってくる「〇〇持ってこい遊び」、ドアを開閉したり新聞を取ってくる「お手伝い遊び」などに好奇心を示すでしょう。
あなたの愛犬の得意なこと、好きなこと、興味を示すものを利用して、一緒に楽しく「遊びながらしつけ」をすることで、愛犬のやる気も満足感もアップして、結果的に学習効率も上がります。
大げさくらいでちょうど良い!? 舞台俳優になった気分でオーバーな表現で褒めましょう。
「遊び」のなかで上手に「しつけ」を続けていくには、あなたが愛犬に「遊びながらしつけ」をどれだけ「楽しい」「やりたい」と思わせることができるかにかかっています。
ワンちゃんは、あなたの声のトーン、表情、態度を敏感に感じ取って反応します。だから、上手にできた時やコマンドどおりにこなしているときは、明るく楽しそうな笑顔、ちょっと高めの明るい声、そして大げさ過ぎるくらいのオーバーなリアクションで褒めてあげてください。イメージするのは舞台俳優さん。言葉や習性が異なるワンちゃんに伝えるにはオーバー過ぎるくらいでちょうど良いのです。
逆に、間違った時には、穏やかに低いトーンで、残念そうな表情で「ノー」や「ウ~ン」と言って、愛犬に「間違っている」ということを理解させます。
間違ったからといって、決して叱りつけたり、怒鳴ったり、イライラしては絶対にいけません。愛犬が自信を持って正解できるコマンドを織り交ぜたり、休憩をはさみながら、楽しんでやる工夫をしましょう。
はじめは意識してオーバーアクションで愛犬を褒めていたあなた自身も、そのおかげでいつの間にか自然と楽しく明るい気持ちになってくるはずです。
4.「遊びながらしつけ」を切り上げる勇気を持ちましょう
「遊びながらしつけ」をしていると、ついつい飼い主さんの方が夢中になり過ぎて、愛犬の気持ちを置き去りにしてしまいがち。「もうちょっと練習したら習得できそうだ」とか、「何とか今日中にこの遊びを覚えさせたい」と言った、人間側の理屈で考えてはいけません。タイミングを見誤らずに「遊びながらしつけ」を愛犬が楽しんでできているうちに切り上げる勇気を持ちましょう。
ワンちゃんの学習効率には「差」があります。
ワンちゃんの学習効率はその仔によって、また、その時によって大きく変化もします。まずそのことを念頭に置きましょう。
上手くいかなくても焦らず、決して厳しくし過ぎてはいけません。いつも穏やかで前向き、楽しく明るい雰囲気を保つよう心がけましょう。「教える」ことに夢中になり過ぎて、なかなか上達しない愛犬に「何でできないの!」としかめっ面で声をあらげたり、愛犬が失敗すると「ダメ!違うでしょ!」と叱り飛ばしてしまう飼い主さんがいます。これはまったくの逆効果です。愛犬はあなたと「遊びながらしつけ」をすることが楽しくなくなってしまい、学習効率は一層低くなってしまうでしょう。上手くいかなかったり、失敗が続いたりしたら、愛犬が自信をもって成功できる簡単なコマンドを最期にやって、オーバーに褒め、愛犬も自分自身も楽しくハッピーな状態で切り上げましょう。
集中しているワンちゃんには、5分でも長すぎるほどです。
犬の集中力はその仔によっても異なりますが、犬種や年齢の他、おかれた環境、気候によっても左右されます。しかし、犬が続けて集中できる時間は平均5分以内と言われています。愛犬があなたといっしょにその遊びをすることに夢中になり、褒められて楽しいと感じなければ「遊びながらしつけ」は上達しません。1回の「遊びながらしつけ」を5分以内に切り上げるように心掛けましょう。合間にリラックスタイムやおやつタイムを設けたり、ワンちゃんの大好きな遊びを織り交ぜて、「遊びながらしつけ」を短時間で回数をこなした方が上手に楽しく続けられます。
愛犬の様子をよく観察しながら、切り上げることを忘れずに
愛犬の様子をじっくり観察してみてください。
なかなか褒めてもらえるような結果が出せずにがっかりしていませんか?そろそろ他の遊びがしたくて、うんざりした素振りを見せていませんか?他のモノや他のコトに気が散っていたりしませんか?そんなサインを見て取れたら、それは「遊びながらしつけ」を切り上げるタイミングです。すぐに切り上げて愛犬とのスキンシップやおやつタイム、あるいはリラックスタイムに移りましょう。
まとめ
「遊びながらしつけ」をリードするのは人間であるあなたです。
ですから、愛犬に何かを「教える」前に、愛犬とあなたが楽しんで「遊びながらしつけ」を続けられるように、「あなた」が一貫してとるべき姿勢、考え方、ルーティンをしっかり身につけましょう。
「遊びながらしつけ」は、上達することも大切ですが、一番大切なのは、あなたと愛犬が一緒に「遊びながらしつけ」の時間を楽しんで信頼を深めることだということを忘れないでください。
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