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2019.02.21 病気・ケガ

狂犬病を正しく知っていますか?

狂犬病を正しく知っていますか?

狂犬病は、狂犬病ウイルスの感染によって起こります。
犬だけでなく、人を含むすべての哺乳動物に感染する最強の人畜共通感染症(ズーノーシス)で、人も犬も、発症すれば有効な治療法はなく、100%死亡します。
毎年3月ごろになると登録を済ませているワンちゃんの飼い主さん宛てに、保健所やかかりつけの動物病院から「狂犬病予防注射のお知らせ」が送られてきます。では、「狂犬病」とは一体どんな病気で、どのように感染したり予防したりできる病気なのでしょう?
今回は知っているようで実は詳しく知られていない「狂犬病」についてわかりやすくご紹介します。

目次

1. 狂犬病はどうやって感染するの?

2. 狂犬病はどんな症状を引き起こすの?

2―1. 初期の症状は?

2―2. 狂躁型の症状は?

2―3. 麻痺型の症状は?

3. 日本、そして世界における狂犬病の現在

3―1. 日本における狂犬病の現在

3―2. 世界における狂犬病の現在

4. 狂犬病から愛犬を守るには?

1.狂犬病はどうやって感染するの?

狂犬病は主に、狂犬病に感染した動物に咬まれることにより感染します。
狂犬病に感染した犬(哺乳動物)の唾液中に多く存在する狂犬病ウィルスが、咬まれた傷口から体内に侵入します。侵入した狂犬病ウィルスは傷口近くの神経を伝い、脳に向かって移動します。潜伏期間は咬まれた部位によって1、2週間~2、3ヶ月と様々です。その後、脳で増殖したウィルスが遠心性に末梢へと移動し、発症後10日以内に死にいたります。

2.狂犬病はどんな症状を引き起こすの?

狂犬病は、攻撃性が非常に強い「狂躁型」と麻痺を主な特徴とする「麻痺型」に分類されます。犬の場合、狂躁型が全体の約7~8割を占めます。

初期の症状は?

犬の狂犬病の初期症状は、発熱や食欲不振の他、元気がなくなったり、暗い場所にこもったりなど様々な性格や行動の変化が見られます。

狂躁型の症状は?

「狂躁型」の場合、初期症状の後、急性神経症状期と言われ、非常に攻撃性が高くなり、唸り声をあげたり、目の前にあるものに噛み付いたりします。また、過剰に興奮し、無目的に走り回ったり、異物を食べたりします。この時期には、さらなる咬傷事故を引き起こすリスクが高いため、十分な注意が必要となります。また、顔つきも凶暴な形相になり、唾液をたれ流したり、舌の麻痺を起こしたり、水を飲むことで喉の筋肉が痙攣を起こす恐水発作の筋痙攣から飲み水を嫌がったりなどの症状も見られます。

麻痺型の症状は?

「麻痺型」の場合は、多量の唾液を流し、横に臥せたままになったり、様々な神経の麻痺症状をおこします。やがて、昏睡状態から呼吸停止で死にいたります。
狂犬病は一度発症すれば、致死率はほぼ100%です。

3.日本、そして世界における狂犬病の現在

発症後は100%死にいたる恐ろしい「狂犬病」ですが、日本ではあまり身近に感じられていないのが現状ですよね。
では、どうして毎年愛犬に狂犬病の予防接種をする必要があるのでしょう?
まずは日本、そして世界の狂犬病事情を知っておく必要があります。

日本における狂犬病の現在

日本では、昭和31年以降国内での人・犬での狂犬病の発生はありません。昭和32年にネコで発生した1件が日本では最後の国内での発生となっています。
しかし、昭和45年(1970年)にネパールを旅行した日本人大学生が現地で犬に咬まれ、帰国後に発病、死亡した事例、平成18年(2006年)にフィリピンで犬に咬まれた日本人2名が帰国後に相次いで狂犬病を発症した事例があります。

世界における狂犬病の現在

世界では、現在狂犬病の発生していない国は、日本、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスの一部、アイルランド、アイスランド、スウェーデン、ノルウェーの一部に限られています。
「WHO(世界保健機関)」の推計によれば、全世界の狂犬病による死亡者数は毎年5万5000人以上、うちアジアでは3万1000人となっています。
「厚生労働省健康局結核感染症課」の2016年の調べによれば、中国で2635人、インドネシア1113人、インドで7437人、バングラディシュで1192人、パキスタンで1623人など、その他アメリカやロシアを含む多くの国で今なお狂犬病が発生しています。
また、平成25年(2013年)には台湾で野生イタチアナグマ等の狂犬病発生も確認されています。

4.狂犬病から愛犬を守るには?

狂犬病の予防にはワクチン接種が有効です
前の章でも述べたとおり、世界の大多数の国で狂犬病が清浄化されていません。
海外での不用意な動物との接触、動物の密輸入や、書類の偽造等による感染動物の日本国内への侵入、海外からの小型貨物船等が日本に寄港した際の犬などの不法上陸、狂犬病を伝播する野生動物(アライグマなど)の頭数増加など、狂犬病に感染する懸念はぬぐえません。
また、日本国内で飼育されている犬の狂犬病予防接種の接種率は、都道府県によってもばらつきがありますが、実際には50%を下回っている可能性があると言われています。自分の周辺のペットとして使用されているワンちゃんたちの中にも、2頭に1頭が狂犬病ワクチンを久しく接種しておらず免疫がないワンちゃんがいる可能性があるということも忘れないでください。
潜伏期間の長い狂犬病ウィルスが、いつ、どこで、どのような形で日本に入ってきて広がっても不思議ではないのです。

まとめ

狂犬病は、「狂犬病予防法」によって「生後91日以上の犬に年1回のワクチン接種」が義務づけられています。
繰り返しになりますが、狂犬病は発病したら最後、致死率100%の恐ろしい病気です。ですから、過信はせずに、必ず毎年1回狂犬病のワクチンを愛犬に接種させましょう。
命を脅かすリスクから大切な家族の命を守るために予防できることは予防する、それは私たち飼い主の役目です。

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