愛犬と何して遊ぶ?
大好きな愛犬と過ごす毎日。健康を気づかい、ご飯をあげて、トイレの世話をして、散歩にも行く。本当は愛犬と一緒にもっと遊んであげたいけどなかなか時間を取れない、お決まりの引っ張りっこやボール投げ以外に何をして遊んだら喜ぶかわからない。そんな悩みをお持ちの飼い主さんは少なくありません。
でも、ちょっと考え方を変えるだけで、遊ぶのが大好きな愛犬と今以上に楽しい時間を過ごせるようになるのです。
1. 犬って遊ぶ必要があるの?
1―1. 大人になっても「遊び」を楽しむ…これは犬と人間の共通点の一つです
1―2. 犬にとっての「遊び」は生後3~4週から始まっています
1―3. ワンちゃんは「人間との遊び」からもいろいろなことを身につけます
1―4. 犬にとって「遊び」とは何?
2. 「愛犬と遊ぶ時間をとるのは難しいなあ」と思っていませんか?
2―1. 散歩だって楽しい「遊び」のひとつです
2―2. 「しつけ」や「トレーニング」も楽しい「遊び」に。
2―3. 「遊び」のポイントは「あなた自身」も愛犬と一緒に楽しむこと
3. 何して遊んだら良いの?
3―1. 愛犬の本能を満たす遊び
3―2. 愛犬の頭を使う知育遊び
3―3. 愛犬の年齢や特性に合わせた遊び方を選びましょう
1.犬って遊ぶ必要があるの?
ワンちゃんと暮らすようになると、それまでの自分の生活ペースに、ワンちゃんの食事、トイレの世話、爪切りやブラッシングなどのケア、散歩など、いろいろやることを組み込んでいかなければなりません。それに加えて、人間社会で共存していくための基本的なしつけやトレーニングも必要となると、純粋に愛犬と遊ぶ時間はいったいどれだけとれるだろう?そもそも人間がワンちゃんと遊ぶ必要があるの?と悩まれる方もいらっしゃいますよね。
大人になっても「遊び」を楽しむ…これは犬と人間の共通点の一つです
犬は遊ぶことによって様々なことを学び、ストレスを発散しています。
賢い生き物だからこそ、人間社会で共存するワンちゃんが、健康を維持し、ストレスをためないように、人間と同様に身も心もストレッチする必要があるのです。
犬にとっての「遊び」は生後3~4週から始まっています
ワンちゃんは、生後3~4週齢になると、自分の寝場所の周りなどで目新しいものや音を見つけると、においを嗅ぎ回って探索する行動をとり始めます。目新しいものや音に対する好奇心が芽生え、臭いをかいだり口に入れてみたりして、それが何であるか知りたいという欲求を満たそうとします。
また、兄弟姉妹のワンちゃんたちとプロレスごっこのようなケンカ遊びをするようになります。相手に乗りかかったり、ひっくり返ったりしながら優劣を学び、服従姿勢や威嚇など様々なボディーランゲージを身につけていきます。
6~7週齢頃になると、子犬の遊びが乱暴にすぎたり、噛みつきが強すぎたりしつこすぎたりすると、母犬が唸り声をあげて威嚇してみせたり、子犬の鼻を軽く甘噛みしたり、軽くねじ伏せたりして、犬同士のコミュニケーションの取り方を教えます。
ワンちゃんは「人間との遊び」からもいろいろなことを身につけます
例えば、ワンちゃんが人間と遊ぶ遊び方の中でも大好きなボール遊びを見てみましょう。
転がるボールをダッシュで追いかけて、くわえて飼い主さんのところに戻ってくる。飼い主さんに渡して、また投げてもらったボールを一目散に追いかける。ボール遊びが大好きで、夢中で繰り返すワンちゃんは多いですね。
転がるボールを捕まえて口にくわえることで、欲求や好奇心を満たし、ボールをくわえて運び、飼い主さんに渡すと喜んで褒めてくれるから嬉しくて楽しくなる。そして、ちゃんと飼い主さんにボールを渡せば、飼い主さんがまた投げてくれるというコミュニケーションができあがり、ワンちゃんの中で飼い主さんとコミュニケーションを取れること自体が楽しい遊びへと発展していきます。
犬にとって「遊び」とは何?
ワンちゃんにとって、「遊び」とはごく自然な行動の一つで、欲求や好奇心を満足させるものであり、楽しく遊ぶことでストレスを発散し、コミュニケーションを身につけるためにとても重要な役を果たしているのです。
その他にも、もちろん集中力や記憶力、運動能力などを高め、脳と身体の健康を維持するためにも大切なのです。
2.「愛犬と遊ぶ時間をとるのは難しいなあ」と思っていませんか?
大切な家族の一員、我が子同然として愛犬と接している方であれば、毎日の生活の中で愛犬のためにしてあげたいことはたくさんありますよね。食事やトイレ、散歩にブラッシング、歯磨きといった日常のお世話から、爪切りやシャンプーなどの必要なケアもあります。これらの他に、粗相をしないようにするトイレトレーニング、お散歩で引っ張り癖を直すためのウォーキングトレーニング、おすわり・伏せ・待てなどの基本的なしつけ、インターホンの音に反応して吠える癖など問題行動を直すしつけなど、たくさんあります。これらにかかる時間とは別に、「たまには遊び相手をしてあげなきゃ愛犬のストレスが溜まっちゃう」という義務感に駆られ、何とか愛犬との遊びの時間を持つ努力をされている方もいらっしゃいますが、なかなか難しいですし、これではせっかくの愛犬との「遊び」の楽しさが半減してしまいますよね。
でも、実は、飼い主さんが意識を変えれば、わざわざ愛犬と遊ばなければと気負う必要はないのです。
愛犬との日常の生活の中に楽しい遊びはたくさん隠れているのです。
散歩だって楽しい「遊び」のひとつです
散歩は、家族以外の人や他のワンちゃんに出会ったり、風や温度を感じ、知らない匂いを嗅いで、聞いたことない音を聞き、土やアスファルトに砂利や草など様々な感触を踏みしめられる、刺激にあふれた時間です。
散歩は運動と排泄のために行うものと勘違いされている方も多いと思いますが、そうではありません。
ゆっくりでもかまいません。大好きな飼い主さんと一緒に楽しみながらお散歩することは、ワンちゃんにとって、家の中では味わえない様々な情報を見て聞いて嗅いで触って感じ取ることができる、好奇心を満たす楽しい「遊び」の時間であり、飼い主さんとの良い関係づくりの助けになります。
「しつけ」や「トレーニング」も楽しい「遊び」に。
「しつけ」や「トレーニング」は、人間社会で共存するワンちゃんに、飼い主さん家族または周囲と快適にトラブルなく暮らしていけるように、人間社会において必要なルールやマナー、動作など教え覚えさせるためのものです。
人間が言葉や動作でワンちゃんに与えた指示(コマンド)に対して、ワンちゃんにある一定の動作を覚えさます。
例えば、「おすわり」という人間の言葉または「胸の前で拳を握る」という動作でコマンドを出したときは、ワンちゃんがお尻を降ろしてその場に座る姿勢をとることを覚えさせます。
興奮しているワンちゃんをなだめて静かにさせたい時や、ワンちゃんの行動を制御して自分に意識を集中させたい時など、人間にとっては犬に覚えてもらう必要がある、使用頻度の高いコマンドですが、ワンちゃんにとってはどうでしょう?
ワンちゃんにとっては、大好きな飼い主さんが「おすわり」という言葉を発した時にお尻を降ろした姿勢をしたら、飼い主さんが嬉しそうに喜んで明るい声でたくさん褒めてくれたなどという楽しい経験から、「おすわり」というコマンドで「お尻を落とす」ことを学習します。そして、「おすわり」以外にも飼い主さんが出したコマンドを次々と理解して正解していくこと自体を楽しむようになります。
つまり、人間にとってはルールやマナーを教える目的で行う「しつけ」や「トレーニング」ですが、ワンちゃんにとっては飼い主さんとコミュニケーションをとるという楽しい「遊び」に他なりません。
人間が「しつけ」ではなく「楽しいコマンド遊び」という考え方でこれらを行えば、「覚えさせなくては」という使命感から解放されて、人間自身ももっともっとワンちゃんとの時間を楽しめます。ワンちゃんが「コマンド遊び」を楽しいと感じ、飼い主さんとのコミュニケーションを楽しめると、次はどんなコマンドを出してくれるのかな?と期待して、ワンちゃんは飼い主さんに注目できるようになります。すると、結果的に問題行動も回避できるようになるのです。
「遊び」のポイントは「あなた自身」も愛犬と一緒に楽しむこと
「遊び」の基本は楽しむこと。これは犬も人間も同じです。楽しくなければ遊びではありません。
ストレスが溜まるといけないから、運動不足になるから、しつけなければいけないから「遊んであげなければならない」という考え方はやめましょう。
特別な道具などなくても、特別な場所へ出向かなくても、あなたと愛犬の日常の中にはたくさんの楽しい遊びが隠れています。それを見つけて、愛犬と一緒に笑って楽しんで喜んで、素敵な時間を共有しましょう。
3.何して遊んだら良いの?
ワンちゃんと楽しめる遊びのヒントは日常の中にたくさん隠れているとはいえ、何をしたら良いのだろう?と思われる方もいらっしゃるでしょう。
こちらの「愛犬と遊ぼう」のコラムでは、そういった飼い主さんの悩みを解決する、ワンちゃんとの日常の中での楽しい遊びのヒントを具体的な例をあげて詳しく解説していきたいと思います。
しかしその前に、今回はワンちゃんとの「遊び」をざっくりと2つに分類し、遊ぶ時の注意点も加えてご紹介します。
愛犬の本能を満たす遊び
知育遊びは、さらにステップアップして、犬の知能を刺激する遊びなので、基本的なコマンドをマスターして飼い主さんとのコミュニケーションを楽しめるようになってから挑戦してみると、さらに飼い主さんとワンちゃんの相互理解が進み、もっともっと楽しくなります。
例えば、良く知られているのは「おもちゃの名前覚え」。実際に数百のおもちゃの名前を正しく覚えることができるワンちゃんがいます。また飼い主さんの立てた指の数だけ「ワン・ワン・ワン」と吠えて数える「数え遊び」や、いくつかの同じ形の容器の中から、配置を変えてもおやつが入っている容器に手をのせて合図させる「マーク遊び」など、楽しい知育遊びがたくさんあります。
知育遊びをできるようになると、ワンちゃん自身が自分で考える力を発揮したり、飼い主さんが求めているものを推理するようになったり、もはや言葉が通じて会話できているかのようにまでなります。その仔によって、または、コマンドと動作を結び付ける飼い主さんのレベルによって、覚えるのにかかる時間や教え方の工夫が変わってくるということを念頭においてください。
ついつい真剣になり過ぎて、ワンちゃんの集中力がない時に知育遊びをしようとしたり、ワンちゃんが飽きてきているのに長い時間やり続けたり、どうしてできないのと責めるようなことは絶対してはいけません。これは一緒に楽しむ遊びなのですから。
特に、愛犬が活発で長い時間散歩してもあまり疲れず、「遊ぼう」という要求に困っている飼い主さんは、ぜひこの知育遊びを早めに取り入れてみてください。集中力を使い、脳を働かせると、ワンちゃんは思いのほか短い時間で疲れ満足しやすいのでおすすめです。
愛犬の年齢や特性に合わせた遊び方を選びましょう
まず愛犬のその日の体調やその時の気分をよく観察し、「遊び」に集中できそうなタイミングを見計らったり、「遊ぶ」気があるかどうかを判断して行うよう心がけましょう。何度も繰り返しますが、ワンちゃんが楽しくなければ遊びではないからです。
さらに、人間が「これをやってみたいなあ」と思った遊びを選ぶのではなく、その仔の特性(体格や性質、運動量など)や年齢などを考慮して、その仔に向いていると思われる「遊び方」や「遊び時間」を決めましょう。
例えば、シニア犬には長い間「立て」や「チンチン」「ジャンプ」をさせたり、硬いオモチャを使って遊ぶよりも、先程ご紹介したおやつの入った容器を当てさせる「マーク遊び」や、部屋の中のどこかに隠したお気に入りのおもちゃを探させる「宝探し」などの遊びの方が向いている場合が多いでしょう。
まとめ
わざわざ改まって愛犬と「遊ぶ」必要はありません。
ワンちゃんと「遊んであげる」というスタンスはやめましょう。
愛犬と「遊ばなければ」と気構える必要もありません。
毎日の暮らしの中に隠れているたくさんの「遊び」を上手に見つけていければ、しつけもトレーニングも楽しい「遊び」になります。
ワンちゃんは人間の言葉を知らないし、人間とは異なる価値観で生きている生き物です。
愛犬と一緒に上手に楽しんで遊ぶことで、あなたと愛犬との相互理解が深まり、良い関係づくりができるようになりますし、問題行動を回避することにもつながります。そして、「遊び」はあなたと愛犬との信頼を深め、強い絆へと結びつける手助けになります。
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